日記 (恋愛限定とか)

 
●恋愛限定
早くも葛藤を仕掛けてきた。最強カード・山本岬を本格的に投入ですよ。
たしかに作者の立場にフォーカスすれば正しいのかもしれない、とは思う。でも読者は「面白いか・つまらないか?」で大半が処理され、特に恋愛モノであれば「快・不快」が占める割合はとても大きい。
面白いかどうかだけ考えていればいい読者とは違って作者はトータルでコーディネイトしないといけない。なら読者としてはせめてちょっとは頭を使ってみようという気にもなったり。
 
恋愛モノの王道は、相思相愛だけどズルズル引っ張るパターンをとる。
 ●(ちょっと気になる)→ ←(好き)○
 
すぐに思い出せるようなメジャー級の作品はさっさとくっ付けばいいのにダラダラしているものが大半に思う。「快・不快」と「面白いかどうか」を明確に線引きするほど読者は分析的に読まないからだと思う(少なくとも私はそういう人だ)
 
ズルズル引っ張るための合理的な理由として、片思いする別のキャラがいたりすることも多い。しかも最後はメインヒロインとくっ付く。
 
 △(大事な友達)→ ←(片想い)●→ ←○(メインヒロイン)
 
例えば電影少女の場合、懐かしのもえみちゃんは主人公の洋太ではなく、その親友の貴志が好き。でも貴志はイイ奴でくっ付かないという保障を読者に与えていた。
このように不快が強くなりすぎないような仕組みにしておいて、主人公はあいちゃんと一緒の生活で快を与えられて、(まさに慰められつつ)終いには心変わりするわけだ。
 
 貴志× ←もえみ ←洋太 ←あいちゃん
 
 
いちご100%の場合も基本的に真中と東城はダラダラ関係になっている。*1
そして問題の初恋限定も分析すると(分析って程のことはしていないけど)やはり王道に近いパターンを取りつつある。
 
   _____________
 「            ↓
 飴男 ←岬 ←財(弟 ←有原あゆみ(1話) ←財(兄(1話)
     ?
    別(兄 ←別(妹
 
矢継ぎ早の展開で関係を調整し続けていく初恋限定はなかなかにスリルがある。しかし今週の展開で作者が安心しようものなら読者はその速度から生まれる遠心力で分離されてしまうかもしれない。問題は快・不快にあり、オムニバス故に感情の移入先は定まり難い。
個人的には単純に財津(弟)に感情移入しろってのは現段階では無理があるように感じる。それは作者が“想定させようとする感情移入先”が「指示されていない」ことによる。私のようにお行儀の良い読者は不満に思う。そしてこの段階に慣らされれば読者は勝手にお気に入りの感情移入先を見つけようとするのだろう。お行儀の良くない 自由を尊ぶ読者ならば最初から勝手にそうしているように。
 
作者は読者(の感情移入先)を誘導することでリソースを集中する有利さを(結果的に)得ることができる。リソースの集中を半ば放棄しながら魅力的な作品に仕上げるにはかなりの力量が要ると予想できるし、短期での打ち切りレースが存在するジャンプでやり遂げるのはいささか困難なチャレンジの気もする。
……といっても初恋限定が「そういう作風」かどうかが分かるのはもう少し先のことになるとは思うけどね。
 
 
 
●今週のハンタ
今週の時間経過って何秒?という話だったけれど、流石としかいいようがない。
 
何を置いても「無」について触れるべきであろう。
極限までの短時間を描くことで、「無心」の有利さを浮き彫りにしてみせた。超高速で思考するキルアよりも更にゴンやユピーは早い。この前提が崩れたらこの話の緊張感の大半は失われてしまったであろう。
 
残念なのは、キルアがドラゴンダイブのことを知っていた点だ。作品の完成度からすれば瑣末な点ではあるが、家族だという点を情報源にしたくても彼が祖父の念能力を知っているとは考えにくい。
例えそのような矛盾があったとしても、尚、一瞬キルアが止まるシーンは必要だったと思わせるパワーがあるのが冨樫作品の強みかも。
(どっちかというとジョジョ風?)
 
シュートは……今週良かったけど書くのは面倒だからいいや(笑)

*1:高校入ってからの西野の動き方も面白いけれど、基本的には懸垂告白返しの完成度の高さが「原因」だと思うのでここは割愛。