日記(雪山飛狐)

 
金庸雪山飛狐」読了
笑傲江湖を読んだ後、心配していたことがひとつあった。訳者が変わることで読み難かったらどうしよう……しかし、これはまったくの懸念に終った。酷く面白い。その代償として激しく物足りない。怒涛の展開。そして壮絶なる断絶。「ちょっ、まっ、ここで終わり!?」(←ネタバレ)
 
ミステリでは無いんだけど、ミステリで言うところの「謎解き部分」で話が構成されている。そして主人公が登場してからはもう止まらない。真打登場まで時間が掛かるのが難点だが、笑傲江湖を読んでいたのでこれは納得できる。苗若蘭の気持ちをちょっとだけ分かるようになっているんだろう。ただ一点、田青文の秘密だけはちょっと取って付けた感じが拭えなかったかな。
 
平井和正幻魔大戦と似たような感じを受ける。平井和正の場合は宗教的熱狂に近いのだろうけども、金庸はその点は宗教性は少なく、純粋に熱い感じだ。この「熱」がグイグイとのめり込ませ、展開を加速させるのだが、読み終わった後の失望感も大きくしてしまうのだろう。