展開考察:ヘラス帝国・ゲーデルの切り札

 
●ヘラス帝国はどうあるべきなのか?
魔法世界の崩壊が前提だとして、それぞれどう行動するのだろう。
MM元老院は旧世界を攻めて支配する気で居る可能性が高い。
ゲーデルは人間だけ救う気でいる。
フェイト達は極大リライトを使おうとしている。
では、ヘラス帝国は?
 
諦めるか足掻くしかないんだから、その両方がヘラス帝国の態度なのではないかと予想してみる。つまり魔法世界の消滅と共に散る気でいるんじゃないかと思う。一方でなにがしかの「不可能な難題」としての解決策を持っているんじゃなかろうか。
 
魔法世界人全体を旧世界・地球に定住させるという目的が一致するならMM元老院と同盟を組むこともできるかもしれない。しかし、戦力としては利用したいが、勝った後では邪魔になるとMM元老院は考えるだろう。また、移住を成功させるには全体数が少なければ少ないほど有利だ。協調路線は難しい選択になってしまうだろう。
 
ここでヘラス帝国のことを考えてみよう。
テオドラが第三皇女であることから、少なくとも上に、皇帝・第一皇女・第二皇女の3人がいるのだろう。上の姉のどちらかは内政担当だったりするのが定石だ(笑) 当然、皇子(兄)がいれば更に順位は下がるだろう。ただ守護聖獣のことを考えると、皇族がシャーマニックな女系家族って設定もあるかもしれない。
 
移住してきた過去をもつMM元老院側とは違って、ヘラス帝国は魔法世界が造られた当時の言い伝えなんかを伝承している可能性も考えられる。ここから、何か特別な解決案をもっている可能性がひとつ。ウェスペルタティア王国ならば確実に知っていたであろう「世界のはじまりの事情」は、王国と共に喪われてしまった。造物主に直接質問できればいいが、無理ならヒントを持っている可能性はヘラス帝国ぐらいしか考えられない。
魔法世界のような広大で巨大な人造異界を造れた連中が、何故、どうして、人間達から隠れ住んでいなければならなかったのか。本当に人間から隠れ住んでいたのだろうか? 仮に解決策を持っていたとしても、魔法世界人、もしくは亜人であるヘラス帝国では実行できないような案の可能性も考えられる。
 
また故郷に対する愛着や誇りが強いことも考えられる。北の連合の民との差異を「新参者かどうか?」で強調してしまっているだろう。つまり自らのアイデンティティを放棄するような、移住のような行動は採りにくくなっている。世界と共に滅ぶことを好しと考える亜人が多くても不思議ではない。
 
 
●おまけ:ゲーデルの演出?
魔法世界編が無事に完結したとして、破壊されていないゲートポートが1つしか無い事を考えると、ここが物語上、ひとつのボトルネックになる。重要な場所だから、利害関係を対立させておかないと後で後手後手に回ってしまう。この辺りは前にも書いたので省略するけど、更にもうひとつ可能性があって、浮遊岩が浮き上がって来たのだから、このまま行けば元ウェスペルタティア王国の領土が浮上して回復するかもしれない。
もちろん魔物が蔓延っているだろうから人が住めるようにするには時間が掛かる。けれど20年ぶりに家に戻れる人達が現れないとも限らない(またもや広域魔力減衰現象で……とかの可能性もあるけどw)魔物を討伐する仕事ならラカンに金を払えばいい。
 
こうなってくると、王族の子孫であるネギに利用価値が作れるようになる。ゲートポートの所有権を主張できるかもしれない。ゲーデルにすればここにオスティア総督としての立場が加わって立ち回ることが狙いとしてあったらどうだろうか。
 
それから、これまで協力してきた見返りとして、総督府の舞踏会で、VIP達をリライトするように依頼していた可能性はどうだろう。ゲーデルの演出で極大リライト作戦を反対させるようにネギ達の感情を誘導したかったとは考えられないだろうか。実際、ノドカを中心として消された仲間を復活させる気で居るわけだろう。理屈はともかく感情的にはフェイト達と対決する方向に向ってしまっている。それは何故か? そもそも親しい関係者をパーティに呼んだのはクルト・ゲーデルの思惑があっての事だろう。テオドラ・セラス・リカードを消すことが出来なかったのはネギの仲間達が頑張ったからだと思うが、それすらついでだったのかもしれない。
 
ネギ達がフェイトの作戦を否定するということは、別の責任を発生させることになる。新旧の世界間戦争を肯定してしまう、という責任だ。これだけでゲーデルはネギをかなり取り込み易くなる。
 
ただし、ネギ達がいくら頑張ったところでフェイト達の作戦を阻止できるとは考えにくい。阻止できるという確信がなければ、クルト・ゲーデルの行動も全て意味がなくなってしまう。
そうなると確実にフェイトに勝つための切り札を用意していなければならなくなる。本人も鳴神流という対魔術師戦のエキスパートだが、もう一押し欲しいところだろう。…………月詠の裏切りとか? 月詠を配置したのはゲーデルだと考えるのが妥当だろうから、裏鳴神流みたいなキャラが何人か居るのかもしれない。すると、かなり以前から、もしかしたら京都での事件の時には既に協力関係にあったという設定になっているかもしれない。
 
不味いな。もしも月詠の目的が裏鳴神流へのスカウトだったりしたら、人間を捨てての白烏化は狙い通りってことになる。木乃香という希望を断ち切れればいいんだろうけど。白烏化を越えて白せつ化が理想なんだけど。うーん、どこまで描かれるのかなぁ(笑)