雑記

 
 
●老人と宇宙(ハヤカワ文庫、SF)
オモロかったっスー。安易な点もありつつーの、小説ってこうだよねーな作品。極めて高評価したいのは最初の一文。衝撃度高め。題名は翻訳時につけたものらしいので、老人と海はあまり関係ないっぽいですね。そこはキャッチーにしたのかな? 読んでなくても安心仕様。
アバター系の物語で、オーソドックスといえばオーソドックスな展開。いろいろと思うところもあったけど、アメリカ人のリア充だったらこうなのかな?って展開があって、そこからは普通の路線に戻ってくる。
ネタバレしてもいっか。新しい体を手に入れて、最初はセックスしまくるんだけど、その展開になる説得力というかが、絶妙でなー。日本人だったらここまでオープンになれないかも?とか思ったりしたわー。
中盤からは普通の宇宙軍事モノっぽい感じにシフトしてたけど、それでも中々面白かった。
 
 
マージナル・オペレーション
芝村おっちゃんの本。前回ウツ展開だけど、俺は当然のように続きを読むのである。というか、今日やっと読み終えた。本屋で売ってなくてなー。ランドリと一緒にアマゾンにお願いしたよ。
個人的な評価は高め。一般評価は少し下げそうな感じ。起承転結的な構造が分かりにくいから、ボンキュボン!的な、ハリウッド映画スタイルとしては読みにくい。アクセルワールドとかはそういうのをちゃんと作ってくる感じがあるよね。
個人的にはこのスルメ感がたまりませんがな。んで、本を読むときにはしおりを使うのをオススメしたい。本自体に紐も付いてるんだけど、そっちは122ページぐらいに挟んで置くといい感じだね。後であのシーンを読み返すのに必要なのだ。
新登場のサキが可愛く書けているのだが、基本的にロリっ気がないのでアレですな。ジブリールがヒロインだと認めても、まぁ、なんだ。感情移入ができない(笑) なんというアラタ状態。イトウさんが出てこないと、マジでヒロイン不在状態。新キャラの斉藤さんの描写が足りなかったのはちと残念だった。次の巻には期待できないと思う。このシリーズはそういうモノではない。
個別エピソードで見ると、書ききれなくなる。たとえば抱っこの日とか完璧なんですけど。村を攻撃→逃げないで反撃される→敵の●●が▲×みたいなのとか、要所の押さえ方が素敵レベル。そしてイブンだろ、イブン燃え。萌えじゃないからな!
 
戦場の枠組みへの落としこみに納得させられる。特に今回のはなるほど、上手い。Iイミルネーターとの関係、地図との関係で、地域を限定して読者に見せている。何を言っているか分からないかもしれないけど、思考のフレームとリフレーミングだのの件で、それの舞台設定との関係の話。逆に分からないかもしれないな。未来の自分が読み返したとして、通じるかどうかも不安だ(笑)
 
とある戦場があるとする。どこまでが戦場か?という問題になる。そこでは何らかの方法で枠組みを設定しなければならない。基本的にはその現場にいれば、物理的な制約だのがこれらを作ることになる。例えばレーダーの距離だとか、こっちの陣地、あっちの陣地といった線引き(国境線)、少し詳しく言えば、移動手段に依存する距離設定(距離は問題ではない。あくまでも移動手段との関係で距離の意味は変化する。してる)。そんでもって、リフレーミングというヤツは、「枠組みを外すこと」と「再設定すること」の2つのアクションでできている。
単純に思考の枠組みを外すと、要素数が無限化してしまう。枠組みが無い場合、思考の音みたいなものが反響する壁が無くなるので、そのままいきっぱになってしまう。ソナーだとかで反響音が帰ってこなかったら、そこに何があるのか分からない(何も無いと判断される)。それと同じで、考えを反響させないとシミュレート出来なくなってしまう。だから、思考の枠組みを再設定してやる必要があるわけだ。何でも巻でも外せばいいってもんでもないわけだ。
小説の場合、舞台を決めなければならない。「メインは学校」みたいに。マジオペの場合にこれで問題になるのは主に「戦場」だったりする。戦場ってヤツは、無限に広く見積もることが可能だ。何せ命が掛かっている。だが、それでは人間に対処することは出来なくなる。無限の戦力があるわけじゃないからだ。当然、読者にも意味が分からなくなる。ある程度まで納得の行く範囲に落とし込んでやらなければならない。戦略から戦術目標への分割と言い換えてもいい。マジオペ4巻はこの作業が丁寧なのだ。そりゃ何も分からないままで読むぶんには気楽なもんだが、作業側から考えるとここがボヤケていると説得力が無くなる。私の様な鬱陶しい読者にとっては、ここが雑だと作者を自由にバカにしていい安全地帯になる。
しかし、枠組みを決めると不安を感じる訳だ。センスの問題でもあるのだが、枠組みの外は自然と盲目化するから、そこを狙われると対処が遅れることになり易い。このコトが分かっていると、4巻ラストの意味はそりゃそうだと思うわけだ。しかもこの場合は展開的に「やり返されている」のであって、そこいらは3巻と同じだったりする。2巻は「やり返している」、3巻4巻はやり返されている。
 
やっぱり長くなったのでここまで。
 
ランドリは、あいかわらず。意味分かんなかったり、分かったり。