ネタ考察:悪こそこの世の真理。で、それからどうするの?

……ま、そうよ@173時間目




今週の医龍スペリオール連載中・第121幕)のアツさはガチ。
でもウチはネギま系なのでネギまの理解に使っちゃおう!とか。(長文注意



「もし、救える可能性が全く同じ患者が2人いたとして、どちらかしか救えないとするのなら、そしてそれが金持ちと貧乏人なら、君は、どちらを助ける?」
患者の選別などしたくはないという前提に立ち、人の命の平等を知っていて、尚できることの小ささ。


多くの人間は「凡人であること」から逃れ得ない。
凡人が故に、金持ちを救うことを選び、将来のより多くの命を救おうとする。
善悪二元論や勧善懲悪が終わったところから、人は一体何をなしえるのだろうか?


世界を選び/選ばれた人=天才は、しばしば赦される。
「どっちも救おうとするオレがそばにいちゃまずいんじゃねーの?」


天才と対峙した凡人は
「むしろ、そんな男だから鬼頭教授のそばにいてほしいんだ。」
そしてその資質故に
「今の話、一応憶えておくよ。」




ここのところ冴えなかった医龍の出来が良くて、思わずスペリオールを購入してしまった(立ち読み→コミック購入派)それにしたって雑魚キャラでこれだけのことをしてのけるのだから、大した詐欺である。捻じ曲がった視点でものを言えば、性善説を取るからこそキャラが活きているのだ。安っぽい悪なんぞいらないといういいお手本。善だから悩むのであり、善であることに苦しむ。


天才と比べられた時、天才でない者達はその圧倒的な光を前に影と化す。
凡人であること、自らが世界に対して何事かも為し得ないという現状認識。




いやぁ〜、熱いねっ!




ネギまで言えば小太郎・釘宮の会話で示された「苦味」という表現にあたります。
主人公ネギもついこの間「正義を行うものの苦味」を得たところですね。(ゲットだぜぇ?)


当たり前に世界は勧善懲悪で出来てなどいないし、ごく稀に運よく“世界から与えられる救済”はいつも一時的なものでしかなくて、それは「終わるまでは永遠に続いていく」ものです。(突き詰めれば到達点は「既に救われていた」になるけどね)


医龍の主人公は天才医師として描かれています。
何をもって天才とするかはともかく、要するに「どっちも救おう」とし、しばしば「両方とも救うこと」を天に赦されます。(シリーズを通して全ての患者を救えたりはしません。)


まぁ、我々だってただの凡人に過ぎない、とも言えますしね。
苦味を知っているかどうかは各人の資質にもよるだろうし、正直に言って苦味を知っているから偉いなんてことはこれっぽっちもない。
現実の苦味を知ろうと知るまいと、その時一体どうするのか?ということこそが各人の資質というもの。
多くの人間はがんばっても「片方しか助けられない」し、「両方助けようとすれば、両方とも助けられない」。そもそも片方だって……ということもある。あんまり他人事ではないですね。*1





我らが勇者・千雨はどうでしょう?
彼女は自分がただの凡人である、ということを知っている。その無力さを苦く噛み締めてもいる。
だからこそ、18巻160時間目は幸せな両想いでしたね。
千雨は自ら世界を選んだし、世界は千雨に守られることを良しとした。それは同時に現れる。

「夢だか楽園だかしらねーが
現にここに生きている以上 これが私達の現実だ」
「私は私の現実を守る!! 
あんたらの好きには させねーぜ!!!」

彼女は世界に救済されるのを待ったりはしません。それこそが勇者ってものでしょう?



刹那はどうでしょう?
12巻108時間目 究極の選択 の回をみてみると、「剣か、人並みの幸せかを選べ」と迫るエヴァを前に、

「お嬢様を守ることは私の全てです」
「これがなければ私は生きてはいけません」

と答えてます。
ここなどは、からくりサーカスの大美人“しろがね”ことエレオノールの人形の悩みと同じタイプですね。
マサル木乃香というか(笑) 別にパクリとかではなく、単に構造が同じなだけのハズです。何しろキャラ数が多いですから、どれかには似るんですよね。
それでこの文脈が分かっていると、ネギま!?の「守られるだけは嫌やわ、ウチもまもりたい!」になるかな、と。
これは「必要性」を基本とした幼い関係で、そこからの脱出・脱却がテーマになるのかどうか?といったところでしょうか。


苦味という視点から捉え返すと、
刹那の剣というのは「その他を切り捨ててでも木乃香を守る」という無力感に支えられたものではないんですね。単に「木乃香=世界」なわけです。
木乃香」だけだったのに「木乃香のいる世界」をなんか手に入れちゃったりした(笑)
木乃香のいる世界」*2ってのは人間関係を含めてのもので、明日菜といった個人はいてもいなくても同じ。
明日菜がどうこう、ってのは、12巻101時間目で咸卦法を使う明日菜を前にようやっとその存在を認識するに至る描写があったりします
「私……今ちょっと嬉しいです!」


その時、大げさに言って明日菜という木乃香以外の存在に「気が付いた」のですね。
一応10巻82時間目に飛行船の中でウサギのコスしてネギに感謝するシーンもあるのですが、明日菜に気付く描写と比較して意味付けが薄いので、はたしてネギに気が付いているかどうか?(笑)我ながらひでーこと書いてますが。


刹那にとっては木乃香がその全てなので、そこにネギや明日菜が入って来たようにみえてても刹那にとっては「木乃香のいる世界」でしかないのです。
しかし現実問題として、明日菜を見捨てて木乃香を守れるというわけでもない。
これらの「曖昧さ」が「幸せ」であり、同時にこの曖昧さが刹那の剣を鈍らせてもいます。
斬るか斬られるか、生きるか死ぬかという白と黒の世界に身を置く刹那にとっては「曖昧さ」はなによりも甘いものだったかもしれません。
……でエヴァは選べ、と(鬼)
今後の課題は、「木乃香のいる世界」に刹那が自分を含めるかどうか?という自己犠牲的なエピソードが…………あるかなぁ? 無いかも
エヴァの視点からすると、
自分が片方を選んじゃっているから、お仲間が欲しいんでしょうけどね。
でも、その選択を密かに後悔?しているからツンデレとか。
刹那にやったことを明日菜にも繰り返すわけですが、どちらも片方(人並みの幸せ)を選ばせようとしつつ、実際は逆(=自分と同じもの)を選んで欲しいと期待してもいます。


世界を悪をもちいて語り、決して自己を肯定しきれない彼女の懊悩。
自分をラスボスとか言っている根っこは、ヒーローにカッコ良く負けて死にたいから、ですね。
11巻99時間目でタカミチに勝ったネギに説教して踏みまくりますが、エヴァは嫉妬してないとおかしい。ああやって誰かに倒されて消えたいはずですから、これはもうタカミチに嫉妬ですよ。
根がツンなので「ああいう風に分かりやすく負ける」のは許せないでしょうね。そしてそのぐらい気付け!と踏みまくる図が微笑ましい。


そんなエヴァが好きになるのは、ナギみたいなタイプです。

アル「あなた個人の力がいかに強大であろうと世界を変えることなど到底……」
ナギ「るせーっつってんだろアル 俺は俺のやりたいよーにやってるだけだバーカ」


苦味・無力感に無条件に負けたりはしないという考え無しのバカ


関連するのは10巻87時間目 夕映・コタの会話とかね。(男の勝負の熱さをわかってへん)
夕映は本来もう少し足掻く必要があるはずなんですが、無力感に立ち尽くして脱出できないままかも。むしろ自力で脱出できちゃったら困るとか。だから今のうちに人一倍がんばっているってところはあるかも。(そもそも脱出したいと思わない?)“語り得ぬこと”を歪めて使うと「愛は共同幻想」とかって言いたくて堪らないキャラが出来上がるわけで、自分の認知限界を内側から突破することはできないのだから、他人に救ってもらうしか手立てが無い、みたいな? それって「いつまでも純粋に待ち続ける乙女」まで一歩の距離だったりして。14巻128時間目では のどかに抱きしめてもらって一方的に赦しを得るのです。世界からの救済ですよ。これがヒュンケルだったら「すまん」の一言で戦いに行っちゃうところです!(笑) 基本的にグダグダしてるからネギがちょっと逃げそうになるとひっぱたいてみたり?ホント、最高ですよね(笑)……女性としては僕は受け付けませんけど(爆)腕を引っ張られてから始まるのが千雨で、腕を引っ張ってもらったら終わるのが夕映、みたいな?夕映スキーとは分かり合えないと思いたいところなんですけど、どうなんですかねぇ。


そして明日菜ですが……
173時間目の結論は、基本的に刹那の答えと同じ「両方のいいとこ取り」なんですけど、
問いの方が微妙にズレています。「人並みの幸せ」か「過去との対峙」か、です。
エヴァからすると、「人並みの幸せ」を選ぶのが本人のためだと分かりきってはいるものの、エヴァを癒すためには「過去との対峙」を選んで欲しかった。
そして明日菜は当然のこと「過去との対峙」を選びます。


これはエヴァにとっては嬉しいでしょうね。
ナギっぽい性格をしている明日菜(171時間目・チャチャゼロ)は、13巻のネギと同じくナギの代理でしかありません。
基本的にエヴァは「明日菜に癒されるわけにはいかない」のです。
それでもやっぱりテンションは上がるので気合が入って大笑いして「よかろう、鍛えてやる!」となった。
でもまぁエヴァの癒されたがりはちょっと抑えないと攻略難易度が下がるのでNGです
明日菜の答えは、エヴァにとっては「過去との対峙」ですが、明日菜にとっては「全てを守る」だったりします。この意味で刹那とほぼ同じですね。

「あんたみたいなバカや あいつらと友達でいるために
絶対 ココであきらめたらダメだって思っちゃったのよ」


苦味話を蒸し返すと、明日菜にとっての苦味はガトウの死と直結してそうです。
173時間目では記憶を思い出さなかったので、もう少し先のエピソードですかね。
木乃香がいるとはいえ、ちょっとネギ辺りが死にそうになるようなシリアスなバトルが高確率である……かなぁ?(笑)


そのとき、我々は明日菜の真の姿を目撃することになるでしょう!(なんつって)



物語三昧さんの二番煎じなので書いてる本人が楽しいばっかりで面白い話ではないかも。
しかし、医龍はガチです。(そっちかよ?!)
あと、自分がのどかのキャラを掴みきれていないのがよくわかりました。
流石にもう数時間パソコンの前にいて疲れ……つづかない
 
 
 
 

*1:最近だとハケンの品格というドラマ中の大泉洋小泉孝太郎のやった役の対比が面白かった。特に小泉孝太郎の痛さとか。

*2:参考:ランドリオールのDXと六甲