ハイレベル

 
ちょっとしたほんとうのこと
 
・喧嘩とかってまず恫喝するところから入るんだけど、プロでもこれに引っ掛かるヤツが結構いるらしくて、リングとかの上で戦ったら絶対に勝てない相手だってわかっててもとりあえず恫喝してみるんだそうな。うまくいけばビビるかもしれないから。そんでブルっちゃうともう実力が1/10も出せなくなっちゃう。基本的に実戦は「公平にくらべっこ」とかしないんだってことだよね。
 
・日常状態で恫喝を食らったらどんだけ努力してても一発で無駄になっちゃうこともある。だからって常に非日常状態(いわゆる戦闘態勢)でギラギラしているわけにもいかない。そんなギラギラしてたらビビッてるのと大差なかったりとか色々な評価系もあったりする。だからヤバそうだとパッと切り替えられないといけないわけだ。
 
・こういうのを「場に入る」と言うんだけど、この日常 → 非日常への切り替えが早くないと色々と間に合わない。それっぽい表現だとアドレナリンが出るとかして戦闘態勢が整う前に決着しないとガチンコになってしまうわけだ。逆にもともと強いのならガチンコになれば安定して勝てるようになる。だからこの「場に入る」こと自体を対象化して鍛えたりすることもある。
 
・ここまでが前提。喧嘩とかの話になってしまったけど、知性の話がメイン。
 
・で、ハイレベルはどうなっているかっていうと、知識やらデータが豊富とかっていう「公平にくらべっこ」なんてのはもうどうでもいい世界になってて、近い表現だと知性が「強い」んだわ。暴力的っていうのかな。もう恫喝するのに近くて、強大な意識がそこに「ある」状態で、圧迫したりなんだりでまず勝負しないといけない。色々知ってて頭が「良く」ても、弱かったら意味がないんだよね。その意味で議論好きってのを眺めると色々と分かることもあろうよ。声量で勝負、とかね。
 
・これを書くと俺だってバレそうで嫌なんだけど、リラックス状態で師匠と話した時、ちょっとそれっぽい質問して、師匠を「本気にさせた」のね。本腰が入ったんだよ。しめしめ、なんて思った途端に、冷静にパニくってた。何を言っているかわからないかもしれないが(以下略) 声が音としてしか聞えず、意味がとれなくなってた。頭の中がごうごう鳴ってんの。俺は落ち着いて何が起こっているのか分析していたよ。右脳・左脳の機能が分断されているか何かしているらしかった。ついでに知性部分やら思考部分は平気だったわけだな。
目の前では師匠が何かを説明してたけど声らしきものの意味が分からないままだ。喋り終わった所で短期記憶から何を言ってたのか「思い出し」て対応したけど*1、あれは面白い経験だった。 思い出したものからすれば、特に難しい言葉とかを使っていたわけじゃなかったし、緊張してたりとかのいわゆる弟子−師匠間での「神秘的なこと」が起こりそうな余計な要素も一切なし。原因は本気になった師匠の意識の質やら量やらでしかなさそうだった。といっても相性の問題もあって、相手の意識を引き入れる仕組みが俺の側にあったからだとも思うけど。昔は本気でニュータイプに成りたいと思っていたんで。
 
・だからぶっちゃけ、本を山のように読んだって、所詮は「その程度」ってことなんだわ。
バイトで40過ぎの小奇麗なかっこした主婦らしき女の人がどうでもいいような単純作業をめちゃくちゃなスピードでやってたりして、見ると、世界の最高学府でも化け物とかいわれそうなくらいの巨大な上丹田を持ってたりするっていうような…………この世界って本当は「そういうところ」なんだよ。
 
・総戦力が膨大でも、その一瞬に使える戦力はちょっとって決まっているわけで、しかもその必要な瞬間に必要な知識を使える保証はどこにもない。敵はそこを狙って切り崩してくるわけだし、ちょっとしたド忘れでもう役に立たなくなってしまうかもしれない。勉強して知ってたから何? そのタイミングでちゃんと使えなきゃ意味無いよね?ってのが「現実の話」なわけで、受験のプレッシャーなんて無いのと一緒だよね。命懸けの現場で「思い出せない」ってのに足を引っ張られる可能性を考えたら、誰だって限界まで自分を鍛えるだろうよ。
 
・責任を背負うのなんかは分かり易く「動機」になるよね。見殺しにするなりして自分の無力さだのの「現実」が「悲惨な現実」のままなのをぼんやり見てるのを選ぶのか、それとも、たとえ失敗しようと自分にできることを、たとえば「何もしないこと」をも含めた全ての可能性を考慮して最善を選ぶのか、とかね。
 
・どうやったらハイレベルになれるのかっていうと、それは誰にもわからない。っていうのも「未踏の領域」に踏み込むことになるからだ。アホの頭で考えつくようなどこにでもあるような計画の範囲内にあるようなつまらないものなんかでハイレベルに辿り着きたくないっしょ。自分がコントロールできない場所にあるんだよ。自分の認識の外側にしかないんだから、説明できない。
 
 
寝る。

*1:朝、目が覚めた瞬間とかに、テレビやら人間やらが喋っていたとして、自分としては何も聞えていなかったのだけど、短期記憶にはその記憶が残っていることなんかがあったりして、聞えていなかったハズのことを思い出すことが出来たりする。