魔法先生ネギま! 290時間目

 
今回、ちょっとダメ臭いんですが…………?
 
●印象か、尺度か
作品の感想なり批評なりを書こうとする時、その印象で語るか、尺度を当てはめて語るかをすることになる。ある意味で尺度を用いるということは誰にでも出来るという側面があるが、これと比較して、個々人の印象から読みを表明することは独特な(オリジナル的な)ものになる可能性がある。
しかし、自分の印象に従って「これはダメだ!」と切り捨ててしまうと、そこでつまらない思考停止となってしまうため、批評というよりは自分の趣味に合うかどうか?を吐き出す行為にしかならない。それは目新しい色々な飴を口に放り込むのに似ている。
 
物語を口の中で転がして新しい味わいを見つけることにどの程度の意味や価値があるか分からないが、視点を変えれば見え方が違うこともあるかもしれないし*1、次の話によって事態が引っくり返ることも十分に考えられる。
このため疑念に対して積極的に「肯定的な視点」を用いた解釈を工夫する方が理に適っているのではないか?などと思うところである。(肯定批評)
 
 
●盛り上がりに欠ける展開か?
ごく中途半端なところでフェイト側に視点が移動している。
本来は「生きるか死ぬか」もしくは「魔獣に堕するか人として留まるか?」といった究極的な状況にあり、しかもネギはナルシシズムの檻から脱しつつある。構造的にものすごーく重要な場面になりそうなのに、こんな中途半端にしちまうのは盛り上りに欠けるのでは? 非常に不味いのでは?と思ってしまう。
 
ダメだろ、と言って切り捨てるのは簡単なんだけど(苦笑)
 
ここでは何をやってるんだろう。合理的な結論がありえるとしたら、どう考えるべきか。まず作中で比較対象になるのは学祭武道会の対刹那戦だが、緊張感が足りない。「父ナギのことを確認したいから決勝に行きたい。けれど目の前の刹那の方が実力が上だ」という状況になっていた。
現在は、「闇の魔法に支配されると死ぬか、魔獣になってしまう。」でもネギは魔獣になってもいいかも?なんて考えたりするから緊張感が出ない。この後に予定されるフェイトとの戦いも「対ラカン戦」でパワーアップを果たしたことで勝ち目がゼロというわけでもなくなって来ている。
 
あえてフェイトに視点を移しているのは、緊張感を高めるため?
 
 
●希薄−脆弱モデル
綾波長門のような自我が希薄なキャラクターは、シンジみたいな自我が脆弱なキャラを奮い立たせる役割があると考えられる。(キョン長門のことにあれやこれやと気を揉んで世話を焼こうとする)
 
余談だけど、この関係モデルの書き方だと、脆弱−ツンデレは脆弱キャラをツンデレがまず強く引っぱって行き、成長してきたら「我」がぶつかるのでデレて女の子になるって説明ができる。
 
また、朝比奈みくるけいおんの唯なんかは脆弱−脆弱で、現状を受け入れるためってタイプかも。前回のまき絵もネギの現状を受け入れている。
なんというか、単要素としての記号の時代じゃないと思うんだよね(キリッ
 
それはともかく。
フェイトが綾波型ヒロインとしてシンジ型のネギをイラだたせていたのは記憶に新しい(紅茶談義とか)。今回は逆にフェイトの方が燃え上がっているので、自我の芽生えは希薄型にとってのデレなのかも。(月詠もご執心といってるし恋ですねw)もしくは男子×男子の関係、且つ、敵・味方に分かれているので、この形式の「恋愛」は変則パターンになるとか?(笑) まぁパーティ・インになると思っているので、今は殺し愛みたいなノリで見ておけばいいと思うのですけどね。
 
 
●望みを受け入れる?
ネギが自分の闇の性質だけ呑み込むところから、仲間達の想いや願いまで全て含めて呑み込むキャラに成長するのだとしたら、フェイトの望み(ネギと戦う!)も呑み込むのかも。
 
 
●千雨が叫ぶしかない?
ネギがかなり大変な状況だというのに、明日菜は元々いないし、ノドカや夕映、茶々丸などが全然まったく、これっぽちも出てこない。なんという薄情、というか、ネギが大変なことになってるのを知らないんじゃないの?と思ってしまう。朝倉の報道管制が完璧過ぎるのか。
 
カードを見つめて「そうだ・・ 僕は・・」なんてので辿り着いちゃったら、盛り上がらんのです。
こういう時はしょうがない。千雨の出番でしょうか。明日菜代理として屈辱にまみれつつも、「神楽坂を助けなくてもいいのか!?」的な発言をしちゃいますか? いや、もっと酷い裏技的試案もありますよ。ルーナに神楽坂になってくれとか言って連れて来るとかね。
 
エヴァが「チッ、間に合わなかったか……」とか言って、ネギは限界を突破して闇への反応が始まってしまう。そこに現れる明日菜。明日菜+ルーナの想い。ノドカも夕映も大サービスで全員を千雨が呼び集めて、ってぐらいのことをやらないと。
 
そして千雨が万感の想いを込めて叫ぶ。ちょい希望的観測にすぎますね(笑)
 
 
●フェイトvs月詠
お陰様でだいぶ緊張感が削がれたわけで(苦笑) 月詠とはフェイトに対するキルバーンだと思っていたりするので。
 
フェイト陣営とクルト・ゲーデルとは、目的は同じ(魔法世界の崩壊をどうにかする)。しかし、その解決の方法は違うため、どこかで利害が食い違うタイミングが出てこなければならない。
 
既に明日菜を入手していることから、極大リライトまで待った無しの状況。するとゲーデルは確実にフェイト陣営の作戦を阻止するように動かなければならない。ゲーデルの実力があればフェイト陣営を一人で壊滅させることができる? ・・流石にそれは考えにくい。そうなった時に使えそうな駒が伏線として事前に配置してあることが望ましい。それが月詠ではないのか、と。
 
今回、斬魔剣・弐の太刀を習得していたので、ゲーデルが組織する裏神鳴流が存在しててもおかしくない。ここでフェイトと戦ったのはちょい肩透かし。
……逆に疑いを晴らす効果があるのかもしれないけれど。
 
 
●鏡のように?
左腕の切断は、ネギの右腕と反転させるような意味があるのかどうか。
 
●趣味
アリアドネーに入学させといて、リライトで消し去るとかどんだけ無意味なのやら。ラカンの言うことだって実は理解してんじゃねーの?
コヨミ達フェイトガールズを加えるとフェイトの趣味は合計62人になり、ネギのクラス2つ分。現実世界で学校に入れてあったら面白いのに。現実世界のお金を手に入れるために時々仕事しに行くとか萌えっしょ?
 
 
●後記
今回は背景使ってて見応えのある場面作れてると思うんですけど、設定とか話の流れがぶった切られてる感じがヒドス!なのでこんな感想になってます。次回以降の展開に期待したいと思います。
 
 

*1:ウィトゲンシュタインなら無意味だとか言葉による問題に過ぎない、だとか言うのかもしれないけどね。