バガタウェイ8


 
感想を書こうと思ったのだけど、かなり入り組んでいるせいで凄く書きにくい。ネタバレ注意。
 
 
 
●全体的に見て
天候を利用する話になっていて、雨が降るという予測の元に前半からオーバーペースでリードを作る作戦に出る敵チーム。ラクロスは雷鳴が轟くとそこで中断だののルールがあるらしい。
 
この「雨の予測」を、膝を痛めた子の感覚を信じている辺りが面白いのと、8巻そのものが百道のターンで終わっているので、次の巻は主人公チームの逆転だと分かる。そこら辺の盛り上げ、期待感もグッド。個人的には百道に四極の妹?っぽいの居ると思ってたのでちょっと肩透かしだったけどね。
 
四極の姫名「雷鳴の蒼姫」の原因は雨の日にあったらしく、ちょっと暴走入っている。これが次巻への強いヒキになっている(ただし、分かり難いのでちゃんと読んで分かっている人のみ) 「雷鳴」がキーポイントになっている訳で、どういう見せ場になるのか?という感じ。
 
普通に読んだ場合は、異様に熱血ドラマしてる。
不良高校を、絶対に勝ちたいと思っているからファールするという風に描いている。これに最初に絡むのが団長で、作者の贔屓か、「言いたいこと」をサラッと言わせちゃってたりする。「(反則だのに)逃げるな」と、ほぼ伏線や論理なしで言わせちゃってて、そこを起点に「逃げてない」を連呼させている。この「逃げ」への強いこだわりを持ったキャラ、穴生(あのう)が走って走ってぶっ倒れるまで走り続ける
ことで、熱血化している。
 
●個別に見て
キャラの立たせ方がいいんだよね。無冠の姫・伊万里はもう少し前からネタ出ししておくべきだったと思うけど、それ以外は良かった。

目立つのはやはり膝が痛い・香春。ヘタレ加持リョウジしている百道の監督との絡みや、時間制限なんかが利いている。
 
目立たないのは内牧真奈美。真奈美は最悪の彼氏がいる子だけど、人の居ない所に暴投っぽいパス出しするキャラ。これが凄い。素人目には素人にしか見えないだろう。
 
こないだのヤングナデシコの試合みたら、自分の正面にしかパス出せないヤツが居たぐらいだものなぁ。特に中盤を制圧されていると攻撃の「起点」はディフェンダーにまで下がってくるんだけど、そのディフェンダーの1人が明らかに視野狭窄になってた。視覚意識が強すぎると、世界が「見えている範囲」に狭まってしまう。この場合、逆サイドへのパスを出したくても、内的感覚上、逆サイドが存在しなくなってくるんだ。ディフェンスの寄りが早いと振り向くのも怖いんだろうな(これも「見えていない」から) こういう視覚情報に依存しているタイプは、ぶっちゃけ運動の素質が無いと言っちゃってもいい。内観を鍛えるのは不可能ではないけど、難しい。聴覚やその他の体性感覚(触覚・嗅覚・味覚+空間認知・温感その他)を中心にするような大変化は起こし難いからだ。
 
こういう前提で考えると、誰もいない場所にパスを出すような暴挙がなぜ暴挙なのか?と考える必要があるわけだ。要するに規律にキチキチ縛られている日本人にはなかなか、誰もいない場所へのパスは出せない。(それは「パス」ではない) ここらへんと不良高校だから、みたいな理由付けはあまり関係させていないと思うけど、真奈美がバカだから、みたいな理由とは一致している。
 
 
読めばわかるような部分を避けられるわけでもなく。書きたい部分を書いてみたけど、関連性を描くのに文章はあんまり向いていないと思う。そのぐらいに今回の話は要素間が複雑で、だけど中心のドラマは熱血が貫かれていて、良く出来ていた。
 
次巻は決着ナリ。9巻に期待、大。