雑記(ギアス)

 
●今週のコードギアス(土の味)
 
順番の問題として悲劇が作られる状況というべきか。「協力しかける→裏切られる」か「裏切られる→協力する」かでその後の展開が決定してしまうような「ボタンの掛け違い」に相当する場面のようにも見える。
 
実際にはまだ動いていないカードがいくつかあって、最終的にどうなるか?はいよいよ分からない。というか、個人的にハッピーエンドの模索に頭が向かってしまっているため、深みにハマって読み違えるような典型的な状況にいたりする。
 
ロロがナナリーを殺したのなら、この物語にハッピーエンドは無い。合図としてはそこで完全に引き返せないことになる。逆に言えば、スザクがナナリーを救う展開さえ残っていれば、「裏切られる→協力する」の方向に引き戻すアクロバットが可能になる。ナナリーをめぐってのロロ雑巾vsウザク*1のスピード対決。今のところロロ雑巾*2に軍配が上がりそうだけど(苦笑)
 
 
ユフィとシャーリーに付いて問うスザク。
 ↓
自分の責任だと言葉を返すルルーシュ
 ↓
「人間じゃない」と震えるスザク。
 
 
悪だからこそ、引き受けるべき覚悟。
対するスザクはこの段階ではそのまま受け取ってしまっていて、まだ気が付いていない。しかし、神社に来た時点で依頼を受ける用意があるということを示している。というかスザクであれば何も頼まなくても勝手にナナリーを守ったかもしれない。(ナナリーを人質にゼロを潰そうとするぐらいのことはしたかも?というのはあるけど)
 
敢えてルルーシュは頭を下げに行き、スザクはルルーシュの中に答えを見出そうとした。
 
スザクは、ゼロとまで言われる人物を相手に何をもって信じようとしたのだろう。ナナリーに対する真の感情?*3 自分に生きろとギアスをかけたこと? 言ってみればこのときルルーシュの中に「自分の信じたい姿」を求めていたのではなかろうか。ここは正直に言って甘いのではないか?と思ってしまう。
 
問いを重ねることでスザクはルルーシュのウソを見抜く。「自分と同じ姿を見出すこと」によって信じようと決める。
 
逆にルルーシュの方は、ナナリー以外のことは全て自分の責任として引き受けようとした。結果からすれば、ウソを見抜かれることで真実を守ったことになったわけだ。これも順番の問題があって、正義を主張して悪を見抜かれるか、悪を主張して正義(?)を見抜かれるか?といった記号的な要素がある。
……限界的な状況でこの交渉術が正しいかと言われると、正直、わからない。結局、字面だけみればスザクの水準によって結果が左右されてしまう気もする。命すら捨てて交渉に臨んだのにしては、捕まった程度で裏切られたとか言ってるし(笑) そんな自分は手を打ってあったりするっていう(苦笑)頭の回転が速い設定なのに「つけられた」という発想に行かないとか。いや、罪悪感まで煽ってナナリーを守らせる気かもしれない(笑)
 
 
シュナイゼルによる、君は何ものか?という問いもいい味が出ている。
どのペルソナで生きるのか?どのようにして自分を律するというのか。
 
二つの超大国のどちらかを選ぶなら?というとても大きな視点での善し悪しが、スザクを通じて個々人の認識に入り込むような状況としてみえてしまう。世界が平和になれば戦争のような大きな悲劇は減るけど、個々人が幸せになったりはしない。それでもゼロの率いる合集国連合とブリタニアによる統一国家なら、果たしてどっちが良いのだろうか。
 

*1:個人的な認識としては、一期のような青臭い正義を振りかざすことによる蔑称としての「ウザク」ではない。当初はゼロの徹底してみえる「悪に堕する覚悟」を作品全体のレベルで汚すこと(スザクがいることによる不徹底)により発生したのだと思っている。(それは単にコントラストの問題だった)しかし、ゼロを皇帝に売り払ったことでウザクは愛称に変化する。その証拠にカレンにリフレインを使おうとした時、ゲスザクという言葉が出てきた(笑) 個人が一般認識を語るのは愚かしいが、装置としてよく出来てると思うのだ。ウザイと思う人やウザクと言われて怒る人自身の内面の何がしかの「認めたくないもの」が表現されてしまうという側面もあるのだけど、むしろ、ルルーシュの悪に対しスザクを単純な正義として二元論的な勧善懲悪として見做さないためにこそ上手く機能していたと思う。

*2:シャーリーを殺した時点で「ボロ雑巾」から脱するチャンスを失っているのだが、生きている以上は何か(つーかハッピーエンド)の役に立たないといけないと信じる

*3:カレンの呟きが一面的な存在で無いことを演出していく。どれも本当のルルーシュの姿である、が正解。