思い遣りという理屈

 
下策だな、と。
 
●株式日記と経済展望:池田信夫はたぶん、天皇のことを「高給で雇われた公務員」と思っているのだろう〜
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/d/20091220
 
元記事まで辿れば明白なのだけど、池田さんが週刊文春の見出しに噛み付いていて、要するに感情論に対して法的根拠などで「正当な」反論をしている。これに対して、思い遣りが足りない、公務員か何かだと思ってんじゃねーのか?みたいな感情論による再反論がされているわけだ。噛み合うわけがない。
 
感情論を相手に理屈で論破しようってのは普段は正しいのだが、ことが天皇のことになれば保留が入らざるを得ない。超法規的存在ではない、それは正しい。だけどその発言の仕方だと全体の半分にしか言及していないことになる。超法規的存在ではない「だからって好きに利用してもいい」って話に聞えてしまうのも当然だ。元々感情論に対するカウンターバランスのハズだが、しかし人間は理屈だけで動くわけじゃない。理屈で正しいからって人間がそう動くわけじゃない。そんなの「こいつバカだな」で終わりだろう。その程度のことが分からない人じゃないのだから、何をやってんだか、と思う。
 
確かにちょっと会見を「させる」だけなら1ヶ月前からアポを取れってルールは過保護に見える。下手なことを言わないように勉強してから人に会うと言った事情もあるらしいし、小沢にしても2週前にアポを取ったという。ギリギリ許容範囲かどうかは感性(趣味)の問題だろう。…………「させる」のならな。
この1ヶ月ルール云々の議論は、天皇の政治利用を前提に問題にしているから間違っているのだ。ルールを守れば政治利用しても良いとか悪いとか、そういうことを俎上に上げること自体が下策なのだ。天皇の政治利用なんて暗黙の了解だ。権力者が天皇を担ぐのがこの国のルールなんだから、そこに関わる感情論なんて綺麗に捌いて意識させないぐらいで丁度いい。(なのに「論理的に正しい」とか言うかね?)
 
豪腕などと言われているが、言っちゃえばマスコミを掌握したつもりになっているだけの寝ぼけた権力者に過ぎない。恩着せがましいメディアの感情論的反応を一蹴しているから話題になっているのだ。それを「すべてのメディアが「口のきき方が悪い」といった感情論で小沢氏をたたく翼賛状況は恐い」だなんて〆てしまうのでは叩かれても仕方が無いね。めんどくさいからさっさと民主党に媚でも売って政治に参加してくりゃいいのに。
 
 
どちらにせよ、メディアが守っている間は、民主党に対する支持率は落ちそうにない。インターネットが普及するようになって10年ちょい。新聞やテレビのみを情報源とする層はまだあと30年ぐらいはのさばり続けるだろう。そういうスパンでじっくりとモノゴトが変化するのを待たなければならない。ネットがメディアの中心に来るかどうかは分からないし、そうなったら今度はネット上での情報戦が中心になるだけのことだ。今は民意に対する影響力が極微だし、だからこそ自由を感じていられるだけだろう。
 
事業仕分けみたいなコスト削減をやれば人気取りになってしまう。我々は無駄を省きました!ってね。だが本来は、無駄を省いて、その残した金で「利益に繋がること」をしなければならないのだ。こんなのは経営の論理ですらない。単に「ゲームの感性」の話なんだ。パパが自動的に稼いでくるから、財布の紐だけ締めておけばお金は増える(残る)っていう家庭の経済学なんかで国がうまくいくわけがない。もはや頭がいいとか悪いとか以前の段階で、どうにもならないのが凄いよね。本当はバカばっかりなのかな、この国? お家の外にいる時はとてもそういう風には思えないんだけどなー?