書評「無限の力 ビジネス呼吸法」

 
ちょっと珍しいことをしようかと。
 
●『無限の力 ビジネス呼吸法』(高岡英夫 著 さくら舎)
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ダイ大的な意味で「先生」ではなく「師匠」の人なのですが、この人に関して誉め言葉を並べると我ながらトンでもないことになります。日本最高の天才です。その業績は200〜300年分がゆうにあり、日本のスポーツ・健康分野の50年分ぐらいをほぼ1人で引っ張り上げちゃった人です。日本に生まれるメリットの1つというか……。こんな感じになるんで、高岡先生の書評はしないことにしていたんですが、まぁ、最近ブログさぼってるんでいいかな、とか。適当に。
 
 
アレです。天才の考えていることを凡人がそのまま理解できるワケもないので、高度な読み替えが必要になるんですが、これぞまさしく読書体験!みたいな。
だいたい「ビジネス呼吸法」とかのネーミングからして世間受けを狙ってる感バリバリで、「あーあーまただよ、先生なにやっちゃってんの?(笑)」とかの苦笑いからスタートするのがデフォルトですしね。ネーミングの重要性をかなり真摯に語った本を大昔に出している人ですので、だいたいの意味は分かってるんですけども、ゆるんだ気持ちでテキトー&おおまじめに、ってところでしょうか。出版社さんのためとかでもあるんですよね。もっと学術論文系の本を書こうと思えば書けるけど、それじゃあんまり売れないとかが色々とありますし、大人な事情が絡むんですよね。『ええ、分かります』
 
そういう企画ありきな本である前提も考えつつ、どのクラスの本かというと、まぁ、そこそこです。高岡先生の本の中では、大したことありませんけども、他人の本と比べちゃうと次元が違うので比較になりません。もうジャンルからして違うっていうか?他人の本を星2つとして、高岡先生の本を星6つとか書いてしまうと「卑怯」なんですよね。小説と自動車みたいなジャンルの違いと言ってあげるのが親切というものです。内容の完成度が違いすぎるし、この本一冊で何事かを理解しようだなんて、おこがましいにも程があるっちゅー話ですけん。
 
内容ですが、内容になると今度は「ケアサイズって、ああ、エクササイズのサイズとケアを合体させたわけですね? わかります」とかいう感じになっています。大元のゆる体操を、部分的なものに劣化させつつ世間が受け入れ易いであろう簡易版にし、今度は新しい名前で生まれ変わらせようとしているんだなぁ、とかが正直な感想です。本当に、そういうどうでもいい部分で1回づつ引っ掛からずにはいられないんですよ。ええ。だってあまりにも天才すぎて、扱いきれない人なので。
もう少し分かりやすく噛み砕くと、天才なんだから一発で正解を出せよ!って言いたくなっちゃうんですね。もっとビジネスとかでも成功しろよ!とかの、手加減ゼロ発言をしたくなっちゃう相手なんですね。まぁー、こればっかりはしゃーない。相手が天才だと分かると、急激に寛容さがなくなり、完璧さを求めてしまうのですね。ああ、おっかない。
 
 
最後に肝心の呼吸法についてです。
手元の資料によりますれば、ベースは、トレーニングジャーナル誌掲載時(92〜93年)の内容からほとんど動いていません。均等呼吸の内容が加わって、説明の絵が変化した程度ですかね。20年変わらないのも凄いんですけど、呼吸法=下丹田という時代は、中心軸呼吸へと移行しているのです。トレンドとかいうには、日本人(というか地球人)は遅すぎますがね。
 
疲労回復法を主眼においていますが、ベースで疲労が回復するか?というと、かなり疑問ですね。むしろ始めたばかりだと体がガタガタになります。使ったことのない筋肉とかを動かすので、これは仕方がありません。続けていくと、回復というか能力開発の基本になっていくのですが、このあたりの説明としては弱いでしょう。実践すれば感覚的に分かるようになるかどうかって話です。
 
 
個人的なオススメは、鋭力呼吸法です。
いわゆる天性の気を導入するもので、脳疲労に劇的な効果があります。仕事中に天の気を吸いいれるようにするだけで、ありえないほどの効果があります。疲労回復法というより、予防的なものなので、疲労の蓄積を防ぐような働き方をしてくれます。机に座るなどして1日がっつり仕事をすると、どんよりと頭が重くなったりする人もいるでしょう。天性の気を導入できるようになっていれば、脳疲労を回避して、清明な状態をキープし続けることができます。
 
ツッコミマインドの持ち主からすれば、まず「天性の気」ってなんだよ!?とかって話になるんでしょうけどね(苦笑) 「天性の気」は「天性の気」でいいじゃん、がマイアンサーなのですが、一応は考えてみましょうか。
 
ええと、たぶんイメージ呼吸法なんだと思うんですよね。方向付けの一種、でもいいです。例えば、体が元気でも、滅入ることを考え続ければ、だんだんと滅入っていきます。具合まで悪くなるかもしれない。このぐらいなら、誰にでも理解できるコトでしょう。だから、プラス思考でイイコトを考え続ければいいんじゃね?までは普通の発想ですよね。
天性の気は、プラス思考の胡散臭さがないのが良い所です。日本語の「天」って概念が大変に素晴らしく、何やらウンチクもありそうな気がします。単純な空でもなければ、宇宙でもない。神のおわす場所的な意味や、神そのものの意味合いも持っています。それらの日本語に深く内在するイメージの力を借りて、呼吸をする。それは単純なプラス思考とは一線を画しているでしょう。「俺はモテる!モテるんだ!」みたいな自分でも信じてないような妄想入っちゃってるプラス思考よりずっといいと思うよ!よ!
 
じゃあ、その深いイメージの力を借りたとして、だから疲労が蓄積しないって何だ?とかが次の疑問でしょうか。これを考えてみましょう。まず、疲れやすい人と疲れにくい人がいますよね。どっちが正しい状態なのでしょうか。そこでは何が違うのでしょうか。同じ仕事を同じようにやっていても、こういう差は出てくるもんです。身体面での差もあるでしょう。太っていたら座ってるだけでも体がつらいかもしれない。そういう条件を同じぐらいにしても、経験的に差はついてしまうものです。年齢やら何やら、最後には「才能の差」と呼ばれる辺りで思考停止して、どうにか理解、もしくは諦めを付けるわけですね。
 
行動すれば、疲れる。これは数学的・数式的な発想で「時間経過で疲労が蓄積する」と考えるのは間違いではありませんが、その場合、生体は何年も生き続けることが出来なくなるでしょう。もう一つ、「疲労を回復させる」という機能も備わっていなければならないのです。つまり「疲労度」―「疲労回復度」=「疲労の蓄積度」という形な訳ですね。回復度を越えた分が、疲労として蓄積される。当たり前のことです。しかし、「常時、疲労を回復している」とまでは、あまり思われていませんよね。
 
滅入るコトを考え続けた場合、なぜ、具合まで悪くなるのか。疲労回復度を下げる操作が可能だと仮定した場合、逆に疲労の回復度を高める操作も可能かもしれない、となるでしょう。その差を生み出す「何か」がイメージ呼吸法である可能性は、かなり高いと思われます。個人的に、DNAの差とか言ってあきらめるよりかは、何倍もマシじゃないかと思っています。
 
私は上軸系の人なので、天性の気の導入は得意です。(というか、最近まで脳疲労を感じないで生きてたのかも?と疑わしく思ってたりしますが)
天性の気を吸いいれる時、かならず姿勢を戻すんですよね(半ば自動的に) これは天からの気を吸いいれるのに、姿勢が悪くてはダメらしいのだと思われます。それと、上手くいった後で脳疲労は感じなかったのですが、「ぼんのくぼ」と呼ばれる部分にコリが残りました。予想では、頭蓋骨を持ち上げる操作をしていたのだと思います。例えばですけど、疲れてしまう場合、頭蓋骨(+脳)の重さで首が圧迫され血流を悪くしていた、などが可能性として考えられます。「天性の気を導入する」というイメージで呼吸する場合、頭蓋を浮かせて血液と酸素吸入量とを増やし、疲労物質を血液循環で撤去できるのかもしれません。
 
「じゃあ、単純に頭を持ち上げればいいんじゃないか?」という意見になると思いますが、それには賛成できません。今度は、首(頚椎)にかかる負荷が問題になってくるからです。単純な話、肩こりを発生させてしまうと、血流の悪化以前に苦しくて仕事になりません。首を持ち上げるという部分ひとつをとっても、インナーマッスルをキチンと運用できなければ意味がないのです。頚椎周辺の位置を微調整し、骨の構造を使って首を支えることで、始めて脱力ができるようになります。さらにインナーマッスルで「誤差の範囲」だけ首を浮かせるのでしょう。
しかし、ド素人がインナーマッスルを正しく運用できるでしょうか? 無理ですね。そんなやり方、知ってるワケがありませんよ、……だって存在してないんだから。
 
天性の気というコトバ、概念には、物理座標的な意味で高い位置をイメージさせつつ、中心軸を活性化させる効果が見込めます。人間は、無意識にインナーマッスルを使うしかないんですよ。そういう能力を発動させるためのイメージ法だと考えられます。
 
……この程度のこじ付け能力も無しに高岡理論を否定する連中の気がしれませんが、まぁ、気持ちは分かります。否定して生きていく方が楽かもしれませんからね。
 
えっと最後に。背もたれで首をマッサージするケアサイズですが、天意呼吸が出来るようになった後に効果があるものだと思われます。高岡先生は天才なので、順番が前後しているかどうか、ご本人にはもしかすると分からないのではないかと。……いや、これも油断かな。首周りが硬いとまず呼吸法ができない可能性もあるのかも? うーん、難しいや。